なんで1番にならなきゃいけないの?前編

♯鬼コーチとの出会い

幼稚園のマラソン大会の前日、
僕は母にこう聞きました。

別にならなくてもいいんだよ。


母は答えました。

~~~

おい、ハゲー!罵倒が飛んでくる。

みんなハゲじゃん。

心の中で思うも、口には出さない。
いや出せない。出したらきっと投げられる。

宙に舞う同期を何人も見てきた。これは僕が中2の時の実際の出来事です。

僕が所属していた中学のサッカー部は、
市内で軍隊と呼ばれていました。

まず、サッカー部なのにみんな坊主です。
僕は当時、五厘(0.5mm)でした。

ある日の冬の練習のことです。ゴールの目の前で
先輩にパスを出したら
コーチに呼ばれ、

お前なんで自分でシュートしないんだ。
もう試合に使わないから走ってろ。

僕たちはミスやチームの規律を乱すことや試合で負けたりすると
罰走がありました。

何回とも言われてないので
とりあえず、止めていいと言われるまで走ることにしました。

正直、これだけならまだ日常です。


ただ何も考えずに黙々とダッシュするだけです。

今日は様子がおかしい。

コーチが練習中ずっと不機嫌で、
嫌な予感がしていました。

集合。

コーチの一言で皆が集まります。

予感は的中です。
ただ僕は罰走中なので行けません。

トヨお前もこい。
ダッシュで向かいます。

端的に話すと、
お前らやる気ないから罰走な。
ということでした。

インターバルは10秒。
トラック一周を制限時間内に返ってくることを
30回続けたら終わりだそうです。

しかし、その制限時間は
僕たちが元気な時に
ダッシュしても入れるか際どいタイムです。

当時、同期の中田くんは骨折をしていました。

その中田くんも
走らせてください。

と松葉杖を突きながら、コーチに直談判します。


が、さすがに断られます。

僕たちはトラックに横一列に並びます。
笛とともにスタートです。

僕はそれまで30分近く
ずっとダッシュをしていたので
もう足の感覚はありません。

ただひたすらに走りました。

トラックの外では中田くんは大声を出しています。
頑張れー!
タイム切れるぞー!

そんな中田君の応援もむなしく

一本目からタイムを切ることはできませんでした。

はい、お前ら0な。
残り10,9,8,,,1 スタート。

グランドに鳴り響く笛。

泣きながら走る同期。
背中を押してもらいながら走る同期。
タイムに入れない同期に飛ぶ罵倒。

ガンバレー!叫ぶ中田くん。

もう何本走ったかわかりません。
100本は超えていたと思います。

頑張って10本くらい行くこともありましたが、
結局0からでした。

終わりは突然やってきます。

もうお前ら走るな。
時間の無駄だから。

この人何言っているんだろう。

と思っている余裕はありませんでした。

そのまま休憩もなしに、
次はセンタリング練習です。

みんな急ぎます。

ここでモタモタしてると、また罰走になるからです。

ここまでが僕の記憶です。

気がつくと、僕は病院のベットの上でした。

後から聞いた話によると

センタリングに合わせて
頭でシュートしようとして
そのままゴールポストにぶつかり
僕は、動かなくなってしまったそうです。

さすがに、ここで練習は中断し
救急車が呼ばれました。

僕は救急車が来るまでの間、

中田くんに差し入れのシュークリームを
食べさせてもらっていたそうです。

僕はずっと

うーうー

と唸っていたそうです。

続く。 

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