なんで一番にならなきゃいけないの?後編

救急車事件があってからも、
練習が楽になることはありませんでした。

毎月配られる練習予定表には
土日の練習時間は
9時~12時と書いてあります。

しかし
僕たちが集合するのは
7時半。

練習が終わるのは早くて14時。
夕方まで練習をやることもありました。

その間にまとまった休憩はありません。
もちろんお昼休憩も。

他の部活の生徒は、部活後
彼女とデートしたり、
友達とゲーセンや映画に行ったり。

僕たちにはそんな体力残っていません。

帰って、シャワーを浴びて
ご飯を食べて

死んだように眠って

気がついたら夜です。

よく他の部活の友達によく聞かれました。


なんでやめないの?
あのコーチ嫌いじゃないの?

下級生の頃、死ぬほど怖くて
本当にコーチのことは嫌いでした。

コーチはいつも原付で練習に来るのですが
朝、原付のエンジンの音が近づいてくると
反射的にお腹が痛くなりました。

それくらい嫌いでした。

夢にもよく出てきます。

僕たちは毎週、コーチへ
サッカーノートを提出していました。


土曜日の練習後に出して、日曜には返ってきました。

お世辞にも綺麗とは言えない字で
びっしりと書かれたコメント。

今でもたまに見返します。

あれだけ嫌だったバイクのエンジン音も
3年最後の、夏の総体が近づく頃には
なんとも思わなくなりました。

むしろ、コーチのいない日の練習は
物足りなく感じるほどです。

なぜかは分かりません。

皆で決めた目標、夏の大会優勝。

これだけやって一番になれないはずはないと皆本当に思っていました。

僕たちは人数も少なく、本当に下手くそでした。


でも、強かったです。どこのチームよりも走るからです。
全国大会に出るチームに勝ったり
春の大会では準優勝しました。

練習は死ぬほど辛かったですが、試合は辛くないです。
たったの60分で終わるから。勝てるから。

もちろん準優勝した春の大会でも
決勝で負けたので、罰走をしました。

コーチは準優勝なんて価値はない。
賞状破り捨ててやろうか。

言いました。

悔しい。見返したい。
夏こそは。

夏、総体準々決勝。小雨。

鳴り響く、ホイッスル。

1-3。逆転負け。

引退はあっけなかったです。

正直、格下と思っていたチームにあっさり負けました。

悔しさでグランドからしばらく起き上がれなかった。

なんで。
あんなにきつい練習してきたのに。

試合後にコーチは怒りませんでした。


罰走もありませんでした。

そして、コーチは僕たちと一緒に引退しました。

準優勝2回。ベスト8。
コーチに優勝をプレゼントしたかった。

これが僕の中学時代一番の後悔です。

しかし、あの時、
負けたからこそ今があるとも思っています。

でも、1番になりたかった。

#鬼コーチとの出会い #感謝

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