第2話 明太子と教室〜プロジェクト ミリオンハイウェイ。〜

”人生とは旅であり、旅はまた人生である。
これはおっぱいをこよなく愛する
若手広告マンの成長ストーリーである”

第2話 明太子と教室

リーダーには色々な形があるから。

2000万円稼ぐまであと1688日。

〜〜〜

ただいま。

福岡空港に降り立つ。

卒業以来約二年ぶりだ。

ここ九州の地は、ぼくにとって第二の故郷。

小学5年から中学1年の三年、そして大学生活の四年間を過ごした地である。

今回はゼミの同窓会があるということで帰って来た。

ゼミの皆と顔を合わせるのは大学を卒業以来である。

今回集まったメンバーは先生を含め、6人。

楽しみが過ぎて、30分前にお店の前についてしまう。

もちろん誰も来ていない。

女子のメンバーも来てくれるとのことだったので

僕は気合を入れて、当日の朝一で
いつもは行かない原宿の美容室で髪をカットしてもらった。

セットもバッチリだ。

僕の次に顔を出したのはミカちゃん。

久しぶり!

カッコよくなっとるやん!

さすが東京の人やね!

いやいやそんなことないよー。

心の中でガッツポーズ。

18時。

全員が集合し、会がスタートする。

先生を囲み、それぞれが近況報告をする。

とは言っても

就職をしてるのはぼくを含め2人だけ。

あとの3人は学部を卒業後、そのまま大学院に進学しており、先生とはほとんど毎日顔を合わせているそうだ。

3人はそれぞれ、大手金融の財務担当、税理士、会計士として社会に出るとのこと。

僕にはよく分からないが、凄そうだ。

そういえばとても優秀なゼミだった。

ぼくを除いては。

〜〜〜

大学3年生の5月某日、別館、第5教室にて。

最初はグーじゃんけん、、ポンっ!

僕だけパー。みんなはチョキ。

負けた。。

神様は残酷だ。

12分の1。

この瞬間に、僕が副ゼミ長になることが決まったのだ。

うちのゼミは3年、4年生合同の会計ゼミで、
4年生からゼミ長を
3年生から副ゼミ長を一人ずつ選ぶシステムになっている。

基本的に3年の副ゼミ長がそのまま持ち上がりで、ゼミ長になる。

僕には部活もあるし、会計に興味もない。

なんなら大学1年の時に、会計学基礎の授業の単位を落としている。

それなのにゼミ長なんて、、
そして先輩同期を含め、周りは優秀な人は多いが、
皆どこかよそよそしく正直楽しいゼミではない。

僕にやる気さえあればまだ良かったのかもしれない。

チームでの発表時、
自分の担当のPowerPointのスライドを入れ忘れ、
身振り手振りで発表したこともあった。

人の発表の時には、たいていTinderかTwitterを開いていた。

つまりやる気も0だ。

副ゼミ長になることが確定してからもずっと、
4年になった時に、どうやってゼミ長を人に押し付けるかしか考えていなかった。

しかし、そんな僕に転機が訪れた。
3年生の秋、11月の学祭。
うちのゼミでは毎年、学祭に出店している。

正直、これはちょっと楽しみにしていた。

僕にとって、学祭への出店は大学三年にして初めての経験だったからだ。

ゼミで出し物を決める前日、夕方。
暇で、たまたまつけたテレビで
東京の方でメロンパンアイスが流行っていると特集が組まれていた。

ビビッときた。

僕の見せ場はここしかない。

徹夜をし、PowerPointのプレゼン資料を10枚以上作った。

そして次の日。ゼミの時間。

競合がいないブルーオーシャンだからこそ、強気の値段設定ができる。
メロンパンにアイスを挟むだけだから作るのも楽。
「東京で話題の」とつければ福岡の人は買う。
.
.
.

等々、メロンパンアイスを売るべき理由を熱弁した。

普段の発表では見せない僕の熱意に
周りは動揺を隠せていなかった。

しかし、そこまでお前が言うのならと
メロンパンアイスを売ることが決定した。

しかし、大変だったのはそこからだった。
タピオカもセットで売ることになり
タピオカ班とメロンパンアイス班に分かれることになったのが、ゼミ生20人のうち
まず試作会に参加できると手を上げてくれたのが8人。
そのうちメロンパンアイスを選んだのは僕とカツオだけ。

カツオは完全に僕に気を遣って手を上げてくれていた。

そんなこんなで結局、当日までメンバーの熱量が上がることはなかったのである。
僕を除くメンバーは、カツオを含め誰一人としてメロンパンアイスが売れると思っていなかった。

売れなくてもしょうがないよ。楽しもうね。。

学祭前日の悲しそうなカツオの顔は忘れられない。

彼は学祭のリーダーとして誰よりも働いていた。
そんな彼を悲しませる訳にはいかない。

メロンパンが大量に入った段ボールを
両腕に抱えたカツオの小さな背中をみて、僕は誓った。

考えるよりまず行動。

自腹を切って、買った前売り券30枚を部活の同期に渡し、
ラインでよっ友含め、片っ端からメロンパンアイスを買ってもらえるようにお願いしまくった。

僕がやれることはやった。

しかし、やはりハプニングだらけだ。

学祭当日。朝9時、
看板を担当していたメンバーが体調不良で休んでしまい、テントに掲げる看板がない。

これじゃ何を売ってるのか分からない。

急ぎ、その場にいたメンバーで作ることにする。

ただ、誰も焦ってない。

どうして?

そう思っている時間さえ僕にはなかった。
何が何でも売らなくては。

なんとか看板を作り終え、学祭の開始時間にギリギリ間に合う。

勝負はここからだ。

1人で売ってやる。

昨晩、作った作戦ノートを見ながら

今日の動きを確認。

スタート。

僕の担当は売り込み。

営業マンだ。

チアの集団にも、子連れにも、カップルにも、アメフト部にも片っ端から声をかけまくった。

意外にも反応はいい。

ジャンケンで皆さんが勝ったら、半額、負けたら人数分買ってくださいね!

何人に負けただろう。

けど今はそんなことはどうでもいい。

座って、ご飯を食べている人にも片っ端から声をかける。

食事の後にメロンパンアイスはいかがですか。
今ならデリバリーやってますよ!
走って持ってきます!

部活で鍛えた足腰がこんなところで役に立つとは。

走って、走って走った。正直焦りしかなかった。
売れなかったらどうしよう。

昼時になって店舗に戻ってみるとそんな僕の心配をよそに、大行列ができていた。

店頭にはシフトの予定じゃないはずのメンバーも入って、忙しそうにメロンパンアイスを作っている。

それを見て泣きそうになった。
泣いていたかもしれない。

売って、売って、売れまくった。

二日目の午前中には売れすぎて、メロンパンがなくなり急いで買い出しに行くという
嬉しいハプニングも結果的に、目標金額の3倍も売れた。

学祭の2日目が終わる頃にはもう、僕の声は出なかった。

その日を境に、少しだが、ゼミの雰囲気が変わった気がする。

四年生になってから
ゼミ長としてビール工場見学を企画したり、飲み会を月に一回開催したり皆が楽しく、居心地の良いゼミ作り。


それだけは誰よりも考え、実行していたと自信を持って言える。ただ結局僕は最後まで、会計の勉強はできるようにはならなかった。

〜〜〜

思い出に浸っていた。
居酒屋のテーブルでは、皆がゼミの思い出話をしている。

思い返すと
学生の頃は、ゼミの飲み会の企画は毎回、僕がやっていた。

それが今回、他のメンバーの呼びかけで
同窓会が開催された。


そして1人だけ東京にいる僕にも声をかけてくれたことがまた嬉しかった。

みんなの近況も聞けて思い出話もできて
本当に楽しい会だった。

解散間際になり、元ゼミ長として挨拶を任された。

少し、考えた後、

先生!会計が分からないゼミ長で色々ご迷惑おかけしました!
これからも僕たちをよろしくお願いします!

と僕は半分冗談、半分本気で、先生に言った。

すると先生は

リーダーには色々な形があっていいから。
お前はよくやってたよ。
20年近く見てきたけど、お前たちの代は本当に雰囲気の良いゼミだった。

普段そんなに褒めることのない先生の言葉だけに余計嬉しかった。

また泣きそうになった。
泣いていたかもしれない。

ゼミ長やって、よかった。

〜〜〜

11/19(土)
正直売れるか不安やったし、行ったら装飾も全然足りないしアドリブでなんとかやった。
色々あったが、意外と売れた。
うちらの代はそんなに仲良くなかったけど、今日で変わった。
同じ目標に向かって一体感が生まれたと思う。
明日売り切って1番取ろう!!

2000万稼ぐまであと2908日。

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